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インタビュー 筋ジストロフィーと闘い歌う 小澤綾子さん

筋ジストロフィーという病気があります。少しずつ手足の筋肉がなくなっていく難病です。この病気を患いながら、歌と講演で全国をまわる小澤綾子さんの詩集絵本『10年前の君へ 筋ジストロフィーと生きる』が完成しました。「今日 君は絶望していると思う」から始まる詩を読むと、ほんのりと(でも、確かに)生きる勇気と元気がわいてきます。

小澤綾子さん

千葉県君津市生まれ。20歳の時に難病・筋ジストロフィーと診断される。自身の経験から、歌と講演を通して「いま」を生きる大切さを全国に伝えている。普段は日本IBMで働き、主婦としての顔も持つ。現在は東京コレクションモデル、ドリームプランプレゼンテーション世界大会感動大賞受賞、研修講師など活躍の場を広げている。

「いま」への気づき

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はじめて小澤さんのお話を聞いたとき、ショックを受けたんですね。「休みの日に一日中寝ている人の身体を貸してほしい。そしたら走ったり泳いだりできるのに」という部分が、特に印象に残りまして。休みの日に(休みじゃない日も)だらだら過ごしている者には身にしみる話でした。
小澤
単純に「もったいない」って思うんですよ(笑)。そんなに自由な身体があるのにだらだら過ごすなんてもったいない! 寝ている人の身体を借りられたらなぁ…と(笑)。
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『10年前の君へ』の中にある「戻ることのできない過去をふり返ったり、あるかどうかも分からない未来を不安に思うよりも、『いま』を大切に生きる」という部分、これも…すごい言葉だと思います。小澤さんの口から出ることで、ものすごく説得力を感じるというか。
小澤
もしも病気になっていなかったら、そう思えたかどうか分かりません。辛いことだけでなく、病気になって良かったと思えることもたくさんあるのですが(※詳しくは書籍で)、「いま」の大切さに気付くことができた―というのは一番じゃないかな。

出張授業のあとで

この日、小澤さんは板橋区にある中学校に出張授業を行いました。対象は中学3年生、もうすぐ高校入学を控える生徒さんたち約140人。約1時間の授業を終えた後に、お話を伺いました。

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本日はお疲れ様でした。
小澤
聞いていて、どうでしたか?
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話がお上手だと、感心して聞いていました。
小澤
中学3年生って、難しい年頃だと思うんですよね。大人でもなく子どもでもなく…話が少し伝わりづらいというか…。
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それ、ちょっとだけ思いました。小澤さんが「車いすに乗っていたって同じ人間だから、普通の人と同じように接してほしい」という話をしたときに、「そんなの当たり前じゃない」という顔をしていたような。気のせいかな?
小澤
私も思いました。「差別」とか「区別」をしてしまうのは、それが無意識でも意識したものだとしても…大人なんですよね。子どもにとっては「車いすに乗っている人も同じ人間」なんて当たり前の話で…。ポカーンとしているところもありましたし。
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いや、でも上手でしたよ。興味が薄い話(!)だと判断するや、お洒落な車いすや杖を小澤さんがオーダーしているという話をして、すると途端に「かわいい!」って目を輝かせていました。
小澤
若い人に興味を持ってもらうには、いいネタなんです(笑)。
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話しながら、歌いながら、車いすで生徒さんの周りをぐるぐるまわったじゃないですか。ものすごい拍手がおきて、盛り上がりました。
小澤
周回するにはちょうどいい広さでしたね。

車いすに乗って

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小澤さんと本の打ち合わせを始めた頃は、まだ杖を使って歩いていらっしゃいました。
小澤
そうですね。すると、本の完成は「車いすに乗ることになった記念」ということになるのでしょうか(笑)。
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車いす生活はいかがですか?
小澤
不便ですね。これまで見えていなかったところが見えてくる―と言ったら大袈裟ですが、いや大袈裟じゃないな(笑)電車に乗るのが本当に大変です。先日は、ホームでもたついているところを乗客の人が見かけて非常ボタンを押してしまって…。
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あら…。
小澤
自分では大丈夫のつもりだったんですけど、駅員さんから「無理はしないでください」と叱られました。
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今日、小澤さんと一緒に電車に乗ろうとしたら、反対側のホームに入ってしまいました。
小澤
入りましたね。
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地下鉄だったので、一度地上に出た後に、大きな国道を渡ってから入り直さないといけなかったんですね(※エレベーターを使う人だけ入り直さないといけない駅の構造)。
小澤
そうでした。一事が万事、そんな感じでもたもたしています(笑)。でも、これまで見過ごしていたものに気づくことも多くて、毎日勉強になります。これからの自分に、何ができるのかを考えるヒントになるというか。
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小澤さんのすごいところは、今の状態を楽しんでいらっしゃるというか、最大限に楽しもうとしているところです。
小澤
どうしてそんなにポジティブなの?とはよく聞かれます(笑)。でも、もちろん落ち込むことだってありますよ。
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どうして小澤さんがポジティブになれたか?という経緯、そしてポジティブになる秘訣?が、この『10年前の君へ』にちりばめることができているといいのですが。
小澤
とってもコンパクトですが(笑)できたと思います。かつての自分のように絶望している、将来に希望を見いだすことができない人に読んでほしい、そんなメッセージを込めて書きました。とても小さな本ですが、すぐに読めるのもいいし、とってもかわいい。一人でも多くの人に読んでもらえたらいいなと思っています。講演先に抱えてもっていって、読んでもらいます(笑)。
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息長く、読者に届けていけたらと思っています。本日はお疲れ様でした。
小澤
ありがとうございました。
生徒に囲まれる小澤さん

中学校での出張授業が終わって、生徒たちに囲まれる小澤さん。

車いすで疾走

歌いながら車いすで疾走。

作家・安部譲二さんから「話すだけ、自分史」を検討中の方へ小澤綾子さん、初めての著書『10年前の君へ』刊行を記念して、トークイベントを開催します。今年から車いすで生活することになった小澤さんの生活と実感。不便を感じながらも、あくまでも前向きな小澤さんと一緒に、大切しなくてはならない「いま」を考えてみたいと思います。

日時:3/24(土)19:00〜21:00(開場18:30〜)
場所:READIN' WRITIN' TAWARAMACHI BOOKSTORE
(東京都台東区寿2-4-7 東京メトロ銀座線「田原町」駅1番出口徒歩2分)
入場料:1,000円
お申込み:こちらより承ります(お問い合わせはTEL03-6666-9594)

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